映画パンフレット バンザイ!

コラテラル (COLLATERAL),2004

コラテラル表紙

パンフレットデータ

発行 2004年10月30日   発行者 藤原正道
発行所 東宝(株)出版・商品事業室   編集 (株)東宝ステラ
印刷所 成旺印刷(株)   定価 600円
判型 241mm×256mm   総頁数 24頁

「トム=クルーズ、初の悪役に挑戦!」──ばかりがクローズアップされ、そこを中心とした評価が目立つように思います。で、おうおうに「非難」のほうが多いようです(いまいき輝個人調べ)。某番組の某コーナーで某監督もこき下ろしていらっしゃいましたし。でも、私は好きです。確かにストーリーは想像つきます。主要人物の善人組は最後に助かるでしょうし、そうであれば悪人側は……そうなるしかないでしょう、と。それでもなお、私はこの作品が好きです。

冷酷な殺し屋と善良で小心なタクシー運転手のサスペンス・アクション。一般的な捉え方はそうなるのでしょうが、この映画の制作者たちが狙ったのはそこではない、と思うのです。生き方が180度異なるふたりの男が過ごす、ひと晩の旅。その道中で、それぞれの男が何を得て、何を失い、その後どう生きるか選択する──そういうドラマなのです。ですから監督をはじめ制作側は、ハナからアクションとしてのリアリティなど追求していないでしょう。なぜなら、もっとリアルに描くべきものがあったから。「サスペンス」、「アクション」、そういう要素は、観客をふたりの旅に誘い込むための撒き餌なのです。

そう考えると、この脚本は実によくできています。ふたりのこれまで過ごしてきた事情をばらしていく順番やタイミング、起きる事件がその後のふたりの関係に及ぼす影響、セリフや行動が現すそれぞれの人となり、などなど。よくできている、というよりも「お手本」という表現が似つかわしい。

「サスペンス・アクション」を、鼻息荒く期待して劇場に足を運んだ方々にとっては、少々(というより、かなり)不誠実な作品だったかもしれません。ただ、その点は、本作の日本国内での宣伝プロモーションにも責任の一端があるのでは? と感じます。本作のドラマとしての主人公はタクシー運転手役のジェイミー=フォックスであるのに、宣伝上名前が出てくることはほとんどなく、パンフ表紙にも記載されていません。いま確認しましたが、チラシにも表面には日本語表記がありません。「危険な男」を演ずるトムさん(ジェリーはどうした!)ばかりがクローズアップされていて、これでは鼻息荒い観客の皆さんを責められないでしょう。だって限りなく「羊頭狗肉」ですからね。

パンフも、そういう不誠実な日本側の態度が如実に表れていて、「アメリカから渡された資料を日本語訳しただけでねぇの?」という内容。生まれて初めて購入したパンフがこれだったら、その人と映画パンフとの出会いは不幸なものとなってしまうでしょう。そんな人がひとりでも増えてしまうことが、残念でなりません。

(2004年11月)

映画の詳細はこちらで検索を!→http://www.allcinema.net/


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