映画パンフレット バンザイ!
華氏911 (FAHRENHEIT 9/11),2004
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パンフレットデータ
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「第57回カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール、国際批評家連盟賞ダブル受賞」なあんて最強のお墨付きをいただいちゃって、先行上映に集まった観客の多さがニュースになるほどでしたねぇ。それでも、日本国内では、前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」ほど、公開後の盛り上がりはなかったように思えるのは私だけでしょうか。きっと日本人は「マイケル・ムーア節」に、もはや飽きてしまったのではないかと思うのです。 あらゆる映像ソースを駆使して、狙った標的(前回はアメリカの銃社会、今回はジョージ・W・ブッシュ大統領)の姿をあぶり出し、その問題点を糾弾していく手法は、相変わらず。でも、前回もそうでしたが、やはり、これを「ドキュメンタリー」と呼ぶには抵抗を感じます。既存のジャンルで言うなら、テレビの「情報エンタテイメント番組」なんかがいちばん近い。なぜなら、「ドキュメンタリー」は、取材の過程で作者が思い描いていた流れを乱す事柄が起きても、それを切り捨てるのは邪道です。あくまでも、それを受け入れた上で作品として真っ当に作り上げていかなくてはいけないはずです。しかし、本作は違います。マイケル・ムーア氏が意図した路線に沿う映像と材料だけを膨大に収集し、巧妙に編集しているのです。「事実」として記録された映像だけで構成されてはいますが、そのつなぎ方はかなり確信犯的。いうなれば「映像のパッチワーク」のような印象を受けます。あんまり突っ込んで「ドキュメンタリーとは何ぞや?」みたいな議論を始めると、深みにはまって真理を見失いそうですが、「事実」を積み重ねたからといって、「真理」に近づくとは限らないのです。 ただ、パンフ内でマイケル・ムーア氏自身も、「くれぐれも言っておくけど、『華氏911』は政治声明じゃないんだ。他の娯楽映画のように映画館で2時間、楽しんでもらいたいんだ。僕が映画制作をスタートさせる段階で最初に考えることは、自分自身が金曜の夜に観に行きたくなるようなものを作りたいということ」と語っているのだから、じつは周りのほうが騒ぎすぎなのかもしれません。 唯一、マイケル・ムーア氏の作家性を感じたのは、おそらく本作の「キモ」であったはずの「9.11」の映像をいっさい出さなかったこと。「その瞬間」は暗黒の画面に「音」だけがかぶさります。航空機が衝突するようすも、ビルが崩れ落ちるようすも、一度もスクリーンには現れません。以前、ある「文章論」の本を読んだとき、「書き手として重要なのは、何を書くかではなく、何を“書かないか”が重要なのだ」という主旨の文面に出会ったことを思い出しました。 パンフ内で読み応えアリなのは、明治大学商学部教授・越智道雄氏が執筆した「華氏911度は何を燃やす温度?」と佐々木順子氏がまとめた「『華氏911』を理解するための基礎用語」。全体的にコンパクトかつ内容充分な割に、定価600円はお買い得です。 (2004年10月) |
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